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Posted by 京つう運営事務局  at 

2022年06月09日

あきらめなければ

 急に暑くなってきましたね。
夏が近づいてきていますね。

 今年は2年ぶりに,通常形態で授業しています。
やっぱり,いいですね。教室に学生さんがいるのは。

神月先生授業風景



  どの授業も紹介したいのですが,
で,最近の「算数科指導法」がとてもいいんです。

 なにがいいかって? その前に…

  この授業は,小学校教諭の免許をとるために,
算数の授業をできるようにする,
端的に言うと,そういう授業です。

 口で言うのは簡単なのですが,
これが結構難しい。

 小学校の算数って,大学生にとってはわかっていることが多いですよね。
ある意味,当たり前のことを,ちゃんと教える。
または,子どもたちが自分自身で考えるのを支援する。
これはなかなか大変なことなのです。

 毎年そうですが,授業開始前は,
かなりの不平不満をおっしゃる学生さんが多くて,
こういうとき算数科の教員は嫌われるよねーとか思いながら,
ただ,毎年そうなのですが,はじまると
学生さんの目の色が急に変わるんです。

 今年もみんながんばってくれています。
多分,算数が苦手な人も多いと思うのです。
でも「あきらめない」んです。
すごく,工夫が見られます。
どうしたらいいか考えてきたノートが見えてます。
作った教材に愛情が入ってます。
一生懸命なのです。

 授業をしない学生さんには,児童役をしてもらいますが,
みんな苦労しているからでしょうが,
授業を見る目が温かい。
そのムードの中にいるだけでも,なんかにやけてしまいます。

 「あきらめず」がんばることは,いろいろな力になります。
そして,人の心を動かすんですね。

 今年も授業後にこんな声が聞こえます。
「先生! 悪いところちゃんと言って!」
これってがんばった人にしか言えないんですよね。

 言いますよ,いっぱい。
次の成長のために,ちょっとくらい嫌われてもいいやと思いつつ
(本当は,嫌われたくないけど)。

 前期の授業が早いもので半分終わっていきます。
あきらめずにがんばれば,何かを得ることはできるんですよね。

 一緒に前に向かって進んでいきたいと思わせてくれる授業です。

神月 紀輔



  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 15:16せんせいのたまごセミナー

2022年05月25日

事例の中には学びがいっぱい!!!

 どんな保育者になりたいですか。こどもの気持ちにより添える保育者?こどもの成長に合わせて保育できる保育者?保護者に安心して預けてもらえる保育者?いかがでしょうか。幼稚園 保育者と子ども

 皆さんがなりたいと思っている保育者になるためには,大学で勉強したり,実際に幼稚園や保育所で実習することが必要になります。でも,それだけはあなたが目指す保育者になれるとは限りません。そこで,今回はあなたが目指す保育者になるための方法を紹介したいと思います。
 その方法とは「保育の事例を読む」ことです。保育の事例には,日々の保育の出来事だけではなく,生活や遊びの中での保育者とこどもとの関わり,こども同士のやりとりなどが記述されています。また,保育者が対応に困った出来事などについて書かれているものもあります。そして,それらの事例では,保育者のこどもの捉え方(こども理解),それに応じた関わり方やその意図・ねらいなども書かれています。つまり,事例には,日々,保育者がどのようなことを考えてこどもと関わっているのか,その神髄が隠されているといっても過言ではありません。こういった事例を読むことにより,こども理解の方法,それに基づいた関わり方などを学ぶことができるのです。読み聞かせのイメージ

 また,事例を読むだけでなく,自分であればこどもの気持ちや行動をどのように理解するのか,どのように関わろうとするのかについて考えることも大切です。そうすることで,今現在の自分のこどもの見方,保育の考え方の特徴も理解できるようになるでしょう。自分の考え方の特徴がわかれば,次に自分が目指す保育者との違いなどについて考えてみることも良いことだと思います。これらを繰り返すことで自分のなりたい保育者に少しずつ近づいていくと思います。
 たくさんの事例を読んで,あなたが目指す素敵な保育者になってください。応援しています。

畠山 寛
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 18:04せんせいのたまごセミナー

2022年05月10日

せんせいのたまごセミナー~コロナ禍の子どもたち

 新型コロナウイルス感染症が国内で確認されてから3度目の春を迎えましたが、いまだに終息する兆しが見えません。学校教育にたずさわる教師たちは、コロナ禍が子どもたちの生活と学びに大きな影響をもたらしていると口を揃えて言います。では、具体的にどのような影響をもたらしているのでしょうか。それを科学的に知る手立てがあります。東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所は、2015 年以降 7 年間にわたって、同一の子どもたちを対象に意識や行動の変化を調査しています。この調査を通して明らかになったことを見てみましょう。
発熱しているこどもの様子

 「勉強しようという気持ちがわかない」という子ども(とてもあてはまる+まああてはまる)は、2019年(45.1%)→2020年(50.7%)→2021年(54.3%)と、3 年間で9.2 ポイント増加し、半数を超えました。学校段階別にみると、学校段階が上がるほど数値が高まり、小学生の4割、中学生・高校生の6割が「勉強しようという気持ちがわかない」と答えています。

 同一の子どもの変化に注目すると、2019年から2021年にかけて学習意欲が向上した子ども(意欲向上群)は11.2%、低下した子ども(意欲低下群)は25.8%、変化のなかった子ども(意欲高いまま+意欲低いまま)は63.0%でした。個人の変化でみても、「意欲向上群」に比べて「意欲低下群」が多くなっていることがわかります。

 こうした子どもの学習意欲が低下している傾向には、どのような要因が関わっているのでしょうか。2019年から2021年にかけて、「上手な勉強の仕方がわからなくなった」と答えた子どもは「意欲低下群」の出現率が高く、逆に「上手な勉強の仕方がわかるようになった」と答えた子どもは「意欲向上群」の出現率が高いことがわかりました。また、「授業が楽しくなくなった」と答えた子どもは「意欲低下群」の出現率が高く、「授業が楽しくなった」と答えた子どもは「意欲向上群」の出現率が高いことがわかりました。2019年から2021年にかけてもごく短い間に、「上手な勉強の仕方」がわかるようになった子どもとわからなくなった子ども、「授業」が楽しくなった子どもと楽しくなくなった子どもとの間で、学習意欲に格差が生じているのです。
いろんなこどもの様子
 「上手な勉強の仕方」がわかるようになった子どもがいる一方で、それがわからなくなった子どもがいる。「授業」が楽しくなった子どもがいる一方で、「授業」が楽しくなくなった子どもがいる。このことが何によるのかは、調査からうかがい知ることはできませんが、コロナ禍における学校と家庭の教育のあり方が影響していることは確かでしょう。コロナ禍によって、学校での対面授業や行事や部活動が減りました。その減少した機会を補える学校・家庭とそうではない学校・家庭との間で、子どもたちの学びに格差が生じています。困難な状況が続くなかでも、すべての子どもの「質の高い学び」を保障していくことが、現在の教師たちには求められているのです。  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 17:11せんせいのたまごセミナー

2022年04月28日

せんせいのたまごセミナー~講義紹介「こども教育基礎演習」・「こども教育フィールド研修」

 本日は、こども教育学科の講義を紹介します。
 本学科の必修科目で、1年生前期に全員が必ず履修する科目に「こども教育基礎演習」・「こども教育フィールド研修」があります。本学科創設時には、「こども教育基礎演習」では、保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校についての基礎的な知識を学び、「こども教育フィールド研修」では、実際に保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校に出かけ観察実習をさせて頂いていました。大学での講義風景

 現場を観察することで、実際の現場の様子を感じ、学び、そのことに基づき自分自身が幼児教育コース、初等教育コース(当時は三つのコースがありましたが、現在は二つのコースです。)のいずれを志望するのかを決めていました。
 本学科の核となる講義であり、学生の皆さんにとってもコース決定の参考になるということで良い評価を得ていました。読み聞かせのイメージ
 しかし、2020年度、コロナ禍になります。観察実習を行うことは不可能となりました。その中でも、学生の皆さんにはコース選択のための学びを保障しなければなりません。
 そこで、現場経験が豊富な教員陣の強みを活かし、その経験談を講義に生かしたり、オンラインで現場の先生方や保育・教育実習を経験した上級生にインタビューを行なったりすることで、学びの機会を保障しました。
授業の様子を参観する様子のイメージ

 コロナ禍も3年目になります。未だ現場のこどもたち、先生方の日々の苦労を思えば、観察実習を行うことは困難です。しかし、これまでにこの状況への対応について、教員陣も学びを深め、知見を得ています。

 観察実習を行えないことは残念ですが、こども教育学科の全教員の強みを活かした取り組みを2020年度もスタートしています。「こども教育基礎演習」において、大学での4年間の学びを充実させ、徳と知の精神を備えた女性として成長していくための学びを進めています。「こども教育フィールド研修」において、幼児教育コース、初等教育コースの選択はもちろん、自身の将来像を明確にして目標に向かって努力できるように、キャリアを見据えた学びを進めています。

 学生の皆さんの成長を願いながら、全教員、コロナに負けずに学びを進めています。
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 09:16大学・学科の紹介

2022年04月20日

せんせいのたまごセミナー~特別支援学校での教育実習に向けた模擬授業レポート

 今回のせんせいのたまごセミナーは、特別支援教育実習事前事後指導という授業で行った模擬授業についてレポートします。
 こども教育学科4年次生で特別支援学校教諭免許状を取得希望する学生は、5月から順次始まる特別支援学校での教育実習に向けて事前指導の最終段階、模擬授業を全員行っています。
 大学近隣や受験希望の地域など様々な時期に特別支援学校でお世話になり実施する予定になっています。多くの学生は、知的障害や肢体不自由、病弱・身体虚弱のあるこどもを対象とした特別支援学校で教育実習をさせていただくことになります。

 大学入学後3年間で学んできた小学校教員としての専門科目、それに加えて特別支援学校教員として最低限必要な専門科目を踏まえて、主に知的障害のあるこどもを対象とした各教科、領域や自立活動などの学習指導案作成と模擬授業を行いました。
 とはいっても自分自身が学生の頃に、教育実習に行った時のことを思い起こすと、こどもや授業がイメージでき、学習指導案作成に即取り組めたというわけではありません。特に、特別支援学校は小学校などと違い、自分が通っていた学校のイメージ、教員像などをモデルに学習活動を想定することができません。
 しかし、現在のこども教育学科ではできるだけ学生時代から教育現場での体験的な学修を勧めていることや、実際に特別支援学級や特別支援学校等でのボランティア経験のある学生も多いこと、また特別支援学校の学習指導案作成など具体的に参考にできる必要な情報がネットで簡単に入手できることが特徴です。実際にボランティア等の体験的な学修を行っている学生はこどもたちのイメージを想定し、先輩や先輩教員の作られた学習指導案を参考に、さらには文部科学省の教科書等やその指導書等を参考に作成していたようです。

 では授業の一部を見てみましょう。全ての模擬授業を紹介できないのが残念です。

最初は、小学部生活科「はるのおくりもの」という単元です。
季節や自然に関わり、体験から感じたことを表現することをねらっています。
はるのおくりものの授業の様子


はるのおくりものの授業の様子



次に、小学部生活単元学習「ボウリング大会をしよう!!」です。
こちらは単にボウリング大会をするだけではありません。倒れたピンの数を数え、電卓を使って計算したり、友達と協力して活動したり、ルールを守ったりと教科のねらいと生活をするために必要な習慣や技能を身につけることをねらっています。
ボーリング大会をしよう!!の授業の様子


ボーリング大会をしよう!!の授業の様子



次は、小学部算数科「くだもののなる木〜1から5までの数を数えよう〜」という単元です。
5までの数のまとまりに着目し、身の回りにある数を数えられるようにするための活動です。
くだもののなる木〜1から5までの数を数えようの授業の様子


くだもののなる木〜1から5までの数を数えようの授業の様子



最後に、小学部算数科「○△□」〜かたちワールドへ冒険に行こう!という単元です。
こちらは導入で紙芝居の読み聞かせを行い、その上で形の違いに着目し図形についての感覚を豊かにするための学習活動です。
「○△□」〜かたちワールドへ冒険に行こう!の授業の様子


「○△□」〜かたちワールドへ冒険に行こう!の授業の様子




 このように、京都ノートルダム女子大学現代人間学部こども教育学科では、紹介したように少人数で授業ができるという利点を生かし、1人15分の模擬授業を履修者全員が行なっています。特に、特別支援学校教諭免許状取得に欠かせないと思われる授業の中心的な指導を担う主指導や授業を協働で行う補助者、こども役、参観者といった役割分担も含めて可能になります。これはただ体験するだけではなく、教員との質問等や、友達との打ち合わせ、意見交換なども十分に行った上で模擬授業ができているということです。こうした大学での模擬授業等の実際的な学びを通して、特別支援学校での教育実習では、学校により環境や方法の違いは多少あるのでしょうが、これまでの先輩たち全員が教育実習をやりきっています。

 オープンキャンパスでは、生の模擬事業を見ていただくわけにはいきませんが、実際に模擬授業を体験した先輩達と話せる機会があると思います。将来、先生を夢見る皆さんと京都ノートルダム女子大学で会えるのを楽しみにしています。  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 19:33せんせいのたまごセミナー

2022年04月07日

-フレッシュマンセミナー- 上級生リポートから

2022年4月6日に新入生歓迎行事のフレッシュマンセミナーが開催されました。新入生みなさま、本学へのご入学おめでとうございます‼
入学おめでとうメッセージ


オープニング 学科紹介


 今年度も引き続き、昨年度と同様、新型コロナウイルス感染症対策を実施しながらの開催となりました。今年度は主に「スタンプラリー」と「クイズ大会」の2つの活動をおこないました。
 スタンプラリーでは、新入生5人1組で班を組み、上級生スタッフが1名ついて、こども教育学科の先生方の研究室や学科と関連のある教室を巡り、スタンプをもらいながら学内散策をおこないました。
「今回のフレッシュマンセミナーでよかったところはスタンプラリーを少人数で回る事ができ、1年生の中でも会話が多く見られたところです。また私の班には幼児保育に興味のある子が多く、特別教室を見ながら授業が楽しみだと言っていました。その言葉は私も嬉しく感じました。」
「スタンプラリーで特別教室や研究室を回ったことが良かったです。私が担当した2班の1回生達は、オープンキャンパスに参加した時や、入学してからの記憶を伝え合い、特別教室を巡っていました。今日だけで全て覚えられなくても、印象に残る特別教室や研究室はあったと思います。研究室へ伺った際に、1年生5人と先生が授業や趣味のことで会話が弾んでいる様子が見られました。1年生は、少人数の大学ならではの良さを感じることが出来たと思います。」 (上級生談)
クイズ大会


 クイズ大会では、こども教育学科の先生方についてのクイズが出題され、正解するとグループごとに歓喜の声があがっていました。解答方法に紙飛行機を飛ばすユーモアもあり、大変よかったと思います。景品として、「京都市紫野障害者授産所 さくさく工房」様で作られている、お菓子をいただき、みなさんの笑顔が溢れる場となりました。
さくさく工房さんのクッキーがいっぱい



 昼食は黙食となり、残念ながらお話しすることはできませんでしたが、食後に上級生に質問する様子や、新入生同士が交流する様子もみられました。新入生のみなさんが楽しんで活動に取り組んでくれていたことに、価値ある行事となったのではないでしょうか。こども教育学科は、保育士・教員になることを目指すコースです。人と関わり学んでいくことも多いことが、この学科の特徴です。今日の経験をこれからの大学生活に活かせてもらえるといいですね。

 最後になりましたが、短い準備期間で今回のフレッシュマンセミナーの企画・運営に携わってくれた上級生のみなさん、ありがとうございました。
 上級生のみなさんからは、
「臨機応変に動く力や人前で話す力など、教員になるために必要な力とは何かを身に染みて感じることができました。」
 「話し合う時間が少ない中で、1つの企画に先生方や、2年生の皆さんと携われた事がとても嬉しく楽しかったです。貴重な経験をさせていただきありがとうございました。」
などの感想をいただきました。

 新入生やこの行事に携わったみなさんにとって、準備や当日の活動から多くのものが得られ、とても良い経験ができたのではないでしょうか。今後のみなさんの活躍に期待しています!
後片付けの後で



  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 16:24大学・学科の紹介

2022年04月02日

入学式が行われました。

キャンパス
桜が満開の4月2日、京都ノートルダム女子大学では、入学式が行われました。
新型コロナウイルス感染症への対策を万全に、5学科の入学生がユニソン会館大ホールに集まり、ご家族の参加も1名に限定にした上で実施されました。
入学式の様子

学長、理事長、保護者会より祝辞の後、みことばの祭儀がありました。みことばの祭儀


本学は「徳と知」の精神のもと、聖母マリアにならって、人としての成長を目指します。
ミッションコミットメントとして、
『尊ぶ』
『対話する』
『共感する』
『行動する』
の4点を私たちの決意として掲げています。

入学した皆さんが、夢を実現できるように我々教職員も応援しています。  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 14:25大学・学科の紹介

2022年03月22日

卒業式~アカデミックドレス

 3月は卒業式の季節です。京都ノートルダム女子大学では3月12日に行われました。
 今年度も残念ながら新型コロナウイルス感染拡大防止のため、式典を簡素化して行われ、夕方からの祝賀パーティーも中止です。
会場の様子


 従来、本学では卒業式の二日前から練習を行っていました。二日間も練習?と思われるかもしれませんが、それには訳があります。一つは、高校までの卒業証書にあたる「学位記」を全ての卒業生が一人ずつ壇上に上がり、学長より直接手渡しされるため、その練習が必要です。マンモス大学では考えられないことですね。ただし今年度はコロナ対策として学科ごとに代表が受け取ることになりました。
 もう一つは、アカデミックドレスと呼ばれるガウンとフード、角帽(キャップ)の試着です。
 今回のブログではこのアカデミックドレスについてご紹介します。
ガウンの着方
 この図は、卒業式前日の試着の際に掲示されるものです。
このようなガウンから多くの人が連想するのが「ハリーポッター」でしょう。ちなみに映画の第一作目「ハリーポッターと賢者の石」の公開が2001年ですから、今年の卒業生の皆さんが生まれた頃ということになります。映画で着用されているガウンは、フードと一体となったもので、いわゆるフード付きコートのようなスタイルですが、本学のフードはガウンと別に着用するタイプです。映画でもグリフィンドール、スリザリンなど、寮ごとに色が決められているように、ノートルダムではフードが学科ごとに色分けされています。こども教育学科は鮮やかな黄色です。卒業生
 次は角帽(キャップ)です。角帽の上面には「タッセル(ふさ飾り)」がついています。「ガウンの着方」の図に示されているように、式が始まる時にはふさを右前に垂らしておきます。式の途中、「学位記」が手渡され、学位が授与されると、ふさを左前に移します。学生から学士に変わる瞬間です。この帽子、遠くから見るとシルクハットを上下逆にしたような形に見えますが、実際は、丼型のカップ麺の容器をうつ伏せにして正方形の板をのせたような形です。野球帽のようにすっぽりかぶせるのではなく、頭の上にのせるような感じなので、なかなか安定しません。人によっては、何本ものヘアピンを使うことになります。でも、そのおかげで背筋が自然と伸び、綺麗な立ち姿になります。
モルタルボード(キャップ・ハット)
 ところで、このキャップは「モルタルボード(キャップ・ハット)」と呼ばれることがあります。それにはこんな道具が関係しています。これは、壁などを塗る時に職人さんが使うパレットのようなもので、セメントに砂や水を混ぜた…モルタル…をのせるのに使います。日本では「鏝(こて)台」、欧米では「モルタルボード」と呼びます。そこから角帽のことを「モルタルボード(キャップ・ハット)」と呼ぶようになったとのことです。もちろん、この道具が帽子の起源ではないと思いますが、洒落たネーミングですね。パスタのカルボナーラの名前の由来が「炭焼職人」という説と似ていますね。

 さて、これらアカデミックドレスは、オルガンの音と共に、京都ノートルダム女子大学の卒業式にはなくてはならないものです。何より「徳と知」を備えた「自立した女性」して社会に巣立つ卒業生に相応しい装いだと思います。
 来年こそ、本来の形の卒業式ができますように。
卒業生









  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 11:24大学・学科の紹介

2022年03月16日

せんせいのたまごセミナー~「病児の発達と支援」実践講座NDラボ

「病児の発達と支援」実践講座NDラボ
健康・運動教育保育群 萩原暢子


 以前、「病児の発達と支援」という授業のお話をしました。病気で入院しているこどもたちに、「遊び」や「学び」を通した取り組みを考えて、こどもたちに勇気や希望を与えようというものです。そして、その講座を修了した人は「実践講座」に進めます。いつもは、京都府立医科大学附属病院の小児医療センターに出かけて、対面でボランティア活動をしていましたが、コロナ禍ではとても病院内に入ることはできません。それで、オンラインで院内学級のこどもたちに、実験を見せながらやり取りをしようということになりました。それが「NDラボ」です。
紫キャベツの実験


 実験の一つ目は、「色水遊び」で「紅茶」や「紫キャベツ」などの色のついた液に酢や重曹をいれて色の変化を見ます。使用したのは「レモングラスバタフライピー」という青色の紅茶と紫キャベツのゆで汁です。レモン汁を入れると青色がきれいな赤みを帯びてきて、ピンク色になりました。これは、紅茶や紫キャベツに含まれているアントシアニンという成分がレモン汁の酸と反応したための変色です。次にシャンプーを入れたら、弱酸性で少し紫色になりました。ベーキングパウダーは青色のままでしたが、セスキというアルカリ電解水では緑色になり、酸とアルカリの色の変化がきれいでした。次に、塩分濃度が違う色水を作っておいて、同じ容器に重ねて入れて、色水の層を作る実験もやりました。これは、塩分濃度の密度の差を利用しています。
塩分濃度が違う色水の実験
 二つ目は、ブラックライトを使って光るもの当てのクイズをやったり、こどもたちに蛍光ペンで好きな動物を描いてもらって、できた作品を光らせて遊んだりしました。
 最後のお土産は、「イカ型の紙ヒコーキ」です。こどもたちは、初めは緊張していたようですがだんだん打ち解けて、とても楽しそうに参加してくれました。学生とこどもたち、みんなの笑顔がとても素敵でした。
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 13:54せんせいのたまごセミナー

2022年03月11日

せんせいのたまごセミナー~こどもが楽しく分かる社会科授業

フィールドワーク その4(2021年11月30日のつづき)

本日は、フィールドワーク第4弾です。
フィールドワークについて取り上げ続け4回目となりました。
なぜ、フィールドワークを取りあげるのか。
社会科授業を実践するためには欠かすことができないからです。
今回は、京都を離れ、筆者の地元の「明石城」を取りあげてみたいと思います。
二つの櫓が現存しています。

南から撮影した明石城

(筆者が南から撮影した明石城)

「明石城は、1619年に、江戸幕府2代将軍徳川秀忠が費用を出し、明石藩初代藩主小笠原忠政(後の忠真)により築城されました。」
すっと読み飛ばしてしまいそうな説明です。
しかし、おかしいのです。
「江戸幕府2代将軍徳川秀忠が費用を出し・・・」というところがです。
なぜ幕府が費用を負担し、明石藩の城を築いたのでしょうか。


この地形図は、国土地理院が公開している「地理院地図」を基に、筆者が作成したものです。
地形図
北が上向きに描かれています。
真ん中の黄色の丸が明石城です。
東から北東にかけて延びる丘陵は、六甲山からつながる台地です。
その台地の突端に当たる位置に明石城は建設されています。
明石城の西には明石川が海へと流れ込んでいます。
明石川が天然の堀となります。
地形から見れば、西からの攻撃に備えた城であることがよく分かります。
写真を細かく見ると櫓の向きも、西と明石海峡を意識していることが分かります。

東から撮影した明石城

(筆者が東から撮影した明石城)

明石城が建設されたころは、1615年の大坂の陣で豊臣家は滅んだものの、まだ西国には豊臣恩顧の大名が残っていました。
特に、広島には福島正則がいました。
その備えとして、姫路城・明石城・尼崎城・大坂城と何段にも備えた防御を、将軍直々に考えていたのです。
地域のお城である明石城を教材として、江戸幕府の幕藩体制について学習することが可能になります。

これも、フィールドワークの成果です。

今回の内容は、兵庫県明石市内の小学校の先生の実践を基にしています。
以下の論文に詳しく説明されていますので、興味がある方は読んでみてください。

石田誠・米田豊(2021)「城の『位置』と「つくり」から幕藩体制を読み解く小学校歴史学習-江戸時代に築かれた『明石城』を事例として-」兵庫教育大学『学校教育学研究』第34巻 pp.157-166

  


Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 14:23せんせいのたまごセミナー