京つう

学校・学生  |左京区

新規登録ログインヘルプ



2022年02月18日

せんせいのたまごセミナー~『病気のこども』を支える

 病気は人や時を選ばずに訪れます。運動場を駆け回っていた子やテニスの試合に向けて練習に励んでいた子、高校入試に向け受験勉強を頑張っていた子が、ある日突然病気を告げられ、入院することになります。そして、突然のことで何が何だかわからないまま入院生活が始まります。そこでは、小学生6年のA君から患者のA君に変わります。当然ながら治療計画や病院の生活など自分自身のことなのに、自分で決められない自己決定喪失に陥ります。また、死ぬかもしれないという恐怖や将来への不安、孤独感、取り残される不安などに襲われ押しつぶされそうになっています。
入院中のこども

 そのようなこどもたちに対して、病気の治療だけでなく病気のこどもたちを支える取組があります。
 入院していても、日本では学ぶ場があります。病院内にある病弱の特別支援学校や病弱特別支援学級、また教員が病院に出向く訪問教育の制度です。 小児がんの拠点病院でもある京都府立医科大学附属病院等には、京都市立桃陽総合支援学校の分教室があります。

 京都ノートルダム女子大学でも、病気のこどもを支えるプログラムがあります。本学と京都府立医科大学との連携プログラム「小児医療ボランティア養成講座」の基礎講座として位置づけられている現代人間学部の共通科目の「病児の発達と支援」です。今年度も、こども教育学科だけでなく、心理学科や生活環境学科の病児のへのボランティアに関心のある学生が多く参加してくれました。この講座では、大学の教員だけでなく京都府立医科大学の医師、看護師、京都市立桃陽総合支援学校の教員、ボランティア活動をしている京都YMCAなど病気で入院しているこどもに関わる様々な立場の人からの講義や、実際にボランティアで遊びを行うための方法を学びました。講義の中には病院では身体機能を失ったこども、亡くなったこどもなど喪失に出会うことも多く、小児看護専門看護師からグリーフについてあり、興味深く聞く学生の姿がありました。

 新型コロナの影響で、今年度は実際に京都府立医科大学附属病院や京都市立桃陽総合支援学校に行って話を聞くことはできなくて、オンラインによる講義だったのを残念がっていた学生が多くいました。それでも学んだことは多かったようです。最後の総括の感想では、病気のこどもと接するということで、自分が感染源とならないため自己管理や衛生管理、病気という高度な個人情報に触れることから守秘義務が求められるなど安易や気持ちで取り組めないことを再確認していました。また、病気のこどもだけを見るのではなく、その家族に寄り添い支えることの重要性に気付かされたと答えている声が多くありました。そして、病弱教育は入院していても学びを止めない、続けたいという思いに答えることであり、入院していても自分らしく生きる、将来を見据えて自立できるようになるために重要な取組であることが分かったとも答えていました。

 この基礎講座を終えると希望する人は実際に小児医療センターや分教室でのボランティア活動に参加することができますが、現在は新型コロナウイルスの関係で中断しています。そこでオンラインでできるようにと昨年度講座を終えた学生を中心にして準備中です。



同じカテゴリー(せんせいのたまごセミナー)の記事画像
遠隔授業が盛んになると、病弱教育は必要なくなるのでしょうか?
理科の授業でエネルギーの概念について考えよう
「NDラボ」の活動
ペットボトルツリー
手作り楽器
ある教育実習生の話
同じカテゴリー(せんせいのたまごセミナー)の記事
 遠隔授業が盛んになると、病弱教育は必要なくなるのでしょうか? (2023-01-23 00:07)
 理科の授業でエネルギーの概念について考えよう (2023-01-10 18:26)
 つながるキモチ (2022-12-23 17:13)
 「NDラボ」の活動 (2022-12-12 08:25)
 ペットボトルツリー (2022-12-05 08:25)
 手作り楽器 (2022-11-25 13:55)

Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 10:38 │せんせいのたまごセミナー