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2021年05月20日

せんせいのたまごセミナー~子どもの人権を考える

 最近、皆さんは、「ヤングケアラー」という言葉を耳にされたことはありませんか。
「ヤングケアラー」とは、法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。
 このような事象は、随分前から存在していました。特に、少子化、高齢化、核家族化が進むにつれて顕著にみられるようになってきました。
 これは、重大な子どもの人権問題です。
家族などへの介護やケア体験をすることは、大変素晴らしいことです。私は、これまで多くの「ヤングケアラー」と呼ばれる児童生徒と出会ってきましたが、責任感が強く、心優しい子どもたちばかりでした。しかしながら、そのことによって、自分のやりたいこと(本来、子どもとして体験できること)ができなかったり、進学を諦めたりすることもありました。弱い立場の子どもたちの大きな負担となっています。これは、大きな社会問題です。
特に小学生の年代では、他の家庭と比較することがあまりなく、介護などをすることが普通のことだと感じている場合が多く、周囲の人も気づきにくいのです。
子どもの人権
 これらの児童生徒を守るためには、いち早く周りの人が気付くことが重要です。しかしながら、上述した通り、プライバシーにかかわる家庭内のことでもあり、周りの人が気付くことは大変難しいのです。
学校の先生ができることは、ほぼ毎日、顔を合わせている子どもの様子の変化にいち早く気づく感覚や目を養うことがとても大切です。
例えば、「顔色が悪い」「最近元気がない」「遅刻するようになった」「忘れ物をするようになった」「これまで放課後友だちと遊んでいたのに、すぐに帰宅するようになった」等々気にかかる現象が見受けられるようになったら、より、注意深く観察することが大切です。
そのような現象が見受けられたら、家庭訪問したり、子どもに声掛けをしたり、何らかの方法で家庭内の状況を知ることが求められます。担任の先生一人では大変なので、校長先生はじめ多くの教職員の協力を得て、学校体制で対応することも重要です。
子どもの人権
 また、学校の先生が、これらの問題をすべて解決することはできません。しかしながら、早期に発見し、多くの関係者(児童相談所や介護・福祉関係者等)と連携を図り、理解と協力を得て、子どもたちの人権を守ることは教師の大切な役割でもあります。
 「子どもの権利条約」前文の一部には、「家族が、社会の基礎的な集団として、並びに家族のすべての構成員特に児童の成長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべきであること・・」と述べられています。
 先生の仕事は大変ですが、子どもの人権を守り、子どもたちが立派に成長する支えにもなる素晴らしい仕事です。多くの皆さんが教師を目指してくれることを望んでいます。



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Posted by 京都ノートルダム女子大学こども教育学科  at 10:50 │せんせいのたまごセミナー